昆布について

産地別の違い

産地の違いは種類の違い! 産地の違いというのは、結局は種類の違いということです。一般に昆布の種類はどの場所でどこの浜で採れたかにより、適した用途も価格も違ってきます。ですから商品名には産地名が入っているのです。主な産地を大きく5つに分けています。

利尻昆布

甘くまろやか肉厚で風味のよい高級出し昆布。出し汁が濁らず、出し気が強いので汁物の出しに使うのに適しています。関西方面で人気があり、養殖の利用も増えてきました。出し昆布のほかにとろろ昆布・おぼろ昆布の加工原料にもなっています。

羅臼昆布

知床半島で採取されるエナガオニ昆布で、巾が広くあめ色をしているのが特長です。道南産の元揃や折昆布に並ぶ高級昆布で、素晴らしい旨味と香りの高い出し昆布ですが、出し汁が多少あめ色に濁ります。進物用としても喜ばれています。

道東昆布(釧路・根室)

以前は日高昆布の代用品として扱われていましたが、長年にわたる改良によって良質の昆布となり、生産量が最も多く利用度の高い昆布になりました。なが昆布は長さが6~15mと長く、早く柔らかく煮えるのが特長で、昆布巻や佃煮・おでんなど煮物用に使われます。ほのかな甘味があるので出し昆布としても使われています。あつば昆布は、肉厚で香りがよく出し昆布として手ごろな昆布です。関東方面でよく使われるおでん昆布は、耳の少ない落石産が好まれています。
成熟前に採取する棹前昆布は、肉薄で柔らかく、煮昆布として、東北・北陸・九州・沖縄でよく使われます。特に根室産の棹前昆布は薄葉銘柄志向の北陸方面で昆布巻用として人気があるようです。

日高昆布

昆布の代表的な銘柄のひとつです。コクのある味わいと早い煮上がりが特長で主に煮昆布として使われます。昆布巻や結び昆布、佃煮のほか、上級品は出しのでがよいので出し昆布としても使われています。関東・東海・中国・四国方面で根強い人気です。

道南昆布

昆布の学問的分類によっても真昆布と称されるように良質昆布の原形とされる上級品。白口浜・黒口浜に分けられる元揃昆布と本場折昆布があり、共に関西方面で人気があります。
肉厚で巾広く、清澄な出し汁で上品な味わいです。本場折昆布は、巾が40cmを超えるものもあり祝儀用の飾り昆布やりゅうひ昆布としても珍重されています。


昆布の流通について

昆布が手元に届くまでの流れ
昆布は海から採ってきてすぐ並ぶような商品とは違います。生育から乾燥などを経て、2~3年越しのものがたくさんあります。まさに手塩にかけて育てるといった感じです。その手順を少しばかりご紹介します。

採集

底がガラス張りになっている箱を浮かべて海底をのぞき、多くの海藻の中から2年生の昆布を探して採ります。

左図のような、棹の突端に刃物をつけたもの(イ)で根元から切り取る場合と、ねじりと称して(ロ)のようなもので根元を巻いてねじり採る場合があります。一部潜水、または、いかりをロープに付けて投げ入れて採取する方法もあります。(拾い昆布といいます)

昆布の成長


遊走子が幼体に
成長

1年生の昆布

葉の部分が枯れて
根だけが残りまた
生育する

2年生の昆布
天然ものは2年で
採取、商品化

遊走子が幼体に成長

1年生の昆布

葉の部分が枯れて根だけが
残りまた生育する

2年生の昆布天然ものは
2年で採取、商品化

乾燥

海中から採取された昆布は浜に持ち帰り、海岸の砂の上や礫上の乾場にて乾燥します。以前はすべて天日乾燥でしたが、雨などで流される恐れがあり、近年では機械乾燥に変わってきました。しかし、昆布は本来、昔ながらの天日乾燥で様々な化学変化を起こし昆布独特の味と色艶が形成されるため、機械乾燥による量産化は品質的には歓迎されていません。最近ではうまく使い分けて、増産・良質に心がけています。
また、海中から採取した昆布はゴム色をした分厚いものでそのまま食べてもまったく味がありません。

砂取り・葉伸ばし・結束

半乾燥の時点で上等の昆布は、たわしで1枚1枚砂落としをし、葉のしわを伸ばして重石をかけて平らなものにします。その後、再乾燥したものを各等級ごとに切断・仕分けし結束してできあがります。

検査

生産者が北海道庁の指示する規格(切口・巾・重量・傷の有無等)によって各等級に分けた昆布は、検査を受けて合否が決定されます。しかし検査員の数は少なく全漁場・全品を検査するのは不可能なので、現在は抜き取り検査を行っています。今後はこの道庁検査は廃止の方向に向かうそうです。この検査印のないものが無検物になります。

値決め

北海道漁連が行司役となり、各浜単協の組合長等と、数名の消費者代表が出席してその年の生産高や価格を決定します。これが共販制度です。

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